大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和28(し)93 決定

主 文

本件特別抗告を棄却する。

理 由

本件特別抗告理由について。

憲法三七条一項の公平な裁判所の裁判というのは構成その他において偏頗の惧の

ない裁判所の裁判という意味であることは当裁判所累次の判例とするところである

(昭和二三年(つ)第二〇号同二五年四月七日大法廷決定、昭和二二年(れ)第四

八号同二三年五月二六日大法廷判決、昭和二二年(れ)第一七一号同二三年五月五

日大法廷判決参照)。本件の場合において裁判長裁判官河野重貞、裁判官高橋嘉平、

同山口正章によつて構成せられた名古屋高等裁判所刑事第一部(第三部に変更)が

右にいわゆる偏頗の惧のある裁判所であると認めるべき何等の資料はなく、また憲

法三七条二項が裁判所においてその必要を認めない証人まで喚問しなければならな

いことを規定したものでないことはこれまた当裁判所の判例とするところであるか

ら(昭和二二年(れ)第二三〇号同二三年七月二九日大法廷判決、昭和二三年(れ)

第八八号同年六月二三日大法廷判決参照)同裁判所が事件の判断に必要のないもの

と認めて所論証拠調請求を却下したことを以て違憲であると論難することはできな

い。そしてまた、憲法七六条三項の裁判官が良心に従うというのは裁判官が有形無

形の外部の圧迫ないし誘惑に屈しないで自己内心の良識と道徳感に従うの意味であ

つて(昭和二二年(れ)第三三七号同二三年一一月一七日大法廷判決参照)、本件

事件に対する審判が前記各裁判官の良心に反してなされたことを疑うに足る資料も

もとよりない。

以上を要するに前記裁判所が公正を欠く裁判をするおそれがあるものとは認めら

れないから所論の裁判官忌避申立却下決定を維持した原決定は相当であつて所論の

ような違憲の廉は少しもない。

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よつて本件特別抗告は理由がないから刑訴四三四条四二六条に則り裁判官全員一

致の意見で主文のとおり決定する。

昭和二八年一二月二二日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 小 林 俊 三

裁判官 本 村 善 太 郎

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